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2024/11/27 (Wed)
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2007/09/21 (Fri)
『ONE PIECE』(44巻/集英社)220万部、『NANA』(16巻/同)200万部、『バガボンド』(24巻/講談社)124万部、
『名探偵コナン』(55巻/小学館)100万部……etc.これらは昨年発売された人気マンガ単行本の初版部数。
一般書で100万部といえば、ワイドショーでも取り上げられるほどのベストセラーだ。村上春樹の新作ですら
初版は15万部程度というから、マンガの単行本がいかに売れているかがわかるだろう。
さらにマンガ誌の売り上げも表2の通り、毎週これだけの部数が流通しているのである。
しかし、マンガ関係者は「マンガが全然売れなくなった」と嘆いているのだ。その真意は、どこにあるのだろうか?
「マンガ市場規模は、この10年で推定約1000億円マイナスです。単純に計算すると、1年で100億円ずつ
減っているということになります」
『マンガ産業論』(筑摩書房)などの著作を持つフリー編集者の中野晴行氏は、そう語る。実際、表1のグラフの通り、
出版科学研究所が毎年発表している『出版指標年報』によれば、マンガ誌の売り上げは1997年から
10年連続で下落し続けている。
「マンガ誌だけではありません。コミックスも、ここ数年は安定していますが、出版点数は倍近く増えていますし、
さらにコンビニ用廉価版コミックや版型を大きくした豪華版や愛蔵版といった旧コンテンツの再利用作品も
含まれています。つまり、新刊1作品当たりの売り上げは、かなり落ちている状況。『ONE PIECE』に代表されるヒット作と、
売れない作品の格差が大きくなってきているんです」(中野氏)
そう、マンガ業界は見方を変えれば10年も前から市場縮小が止まらない斜陽産業といえるのだ。
90年半ば頃のマンガの全盛期には、続々と創刊される青年マンガ誌が軒並み部数を倍増させ、
「週刊少年ジャンプ」(集英社)が毎週600万部以上という驚異的な発行部数を誇ったものだが……
いったい何がマンガを、ここまで凋落させたのだろうか?
【子どものマンガ離れが導いたマンガ市場の縮小】
「ひと言で言えるようなものじゃないけど、いちばんわかりやすい要因は少子化だろうね。マンガは、
やっぱり子どもが買うものだから」
そう話すのは、マンガ家でありながら、近年はマンガ評論家や作家としても活躍するいしかわじゅん氏。
もちろん考えられる要因はそれだけではない。いしかわ氏は続ける。
「昔に比べて、マンガに対するリテラシーが高くないと理解できないような作品が増えているし、
さらにストーリーやキャラクターがどんどん複雑になって、週刊連載1回分16ページを『ああ、面白かった』と読める
単純明快な作品がほとんどない。例えば読んだことのないマンガ誌を買って、今週分だけ読んでみても
話がわからないんだよ。そうすると、やっぱり新しい読者はマンガ誌を買わなくなってくる」
こうしたマンガの難易度の上昇が、本来なら新規読者を獲得するはずのマンガ誌から新しい読者を離れさせていった。
さらに、マンガ業界全体において低年齢層に向けた作品がなくなっていることを、前出の中野氏は指摘する。
「昔は手治虫に藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎など、みんな子ども向けのマンガを描いていました。しかし、
少年誌でも子どもが楽しんで読めるマンガがどんどん減ってきて、今ではほとんど存在しない。その結果、
マンガを読み始める子が年々少なくなっているんです。もともと小学生がメイン読者だった少年誌も、
今は中学生がメインの読者層になり、高校生や大学生が読者対象になるはずの青年誌も、
読者の平均年齢が30~34歳と上昇しています。描き手にとっても、子ども向けのマンガは何がウケるかわからない。
それよりも大人にウケるマンガを描いているほうが楽だし、社会的に評価も高い。
だからマンガ家たちも子ども向けのマンガを描かなくなっているんです。こうして下の世代の新しい読者を
獲得してこなかったことが、この10年間のマンガ業界の低迷のいちばんの大きな要因だと思います」
日刊サイゾー
http://www.cyzo.com/2007/09/post_40.html
『名探偵コナン』(55巻/小学館)100万部……etc.これらは昨年発売された人気マンガ単行本の初版部数。
一般書で100万部といえば、ワイドショーでも取り上げられるほどのベストセラーだ。村上春樹の新作ですら
初版は15万部程度というから、マンガの単行本がいかに売れているかがわかるだろう。
さらにマンガ誌の売り上げも表2の通り、毎週これだけの部数が流通しているのである。
しかし、マンガ関係者は「マンガが全然売れなくなった」と嘆いているのだ。その真意は、どこにあるのだろうか?
「マンガ市場規模は、この10年で推定約1000億円マイナスです。単純に計算すると、1年で100億円ずつ
減っているということになります」
『マンガ産業論』(筑摩書房)などの著作を持つフリー編集者の中野晴行氏は、そう語る。実際、表1のグラフの通り、
出版科学研究所が毎年発表している『出版指標年報』によれば、マンガ誌の売り上げは1997年から
10年連続で下落し続けている。
「マンガ誌だけではありません。コミックスも、ここ数年は安定していますが、出版点数は倍近く増えていますし、
さらにコンビニ用廉価版コミックや版型を大きくした豪華版や愛蔵版といった旧コンテンツの再利用作品も
含まれています。つまり、新刊1作品当たりの売り上げは、かなり落ちている状況。『ONE PIECE』に代表されるヒット作と、
売れない作品の格差が大きくなってきているんです」(中野氏)
そう、マンガ業界は見方を変えれば10年も前から市場縮小が止まらない斜陽産業といえるのだ。
90年半ば頃のマンガの全盛期には、続々と創刊される青年マンガ誌が軒並み部数を倍増させ、
「週刊少年ジャンプ」(集英社)が毎週600万部以上という驚異的な発行部数を誇ったものだが……
いったい何がマンガを、ここまで凋落させたのだろうか?
【子どものマンガ離れが導いたマンガ市場の縮小】
「ひと言で言えるようなものじゃないけど、いちばんわかりやすい要因は少子化だろうね。マンガは、
やっぱり子どもが買うものだから」
そう話すのは、マンガ家でありながら、近年はマンガ評論家や作家としても活躍するいしかわじゅん氏。
もちろん考えられる要因はそれだけではない。いしかわ氏は続ける。
「昔に比べて、マンガに対するリテラシーが高くないと理解できないような作品が増えているし、
さらにストーリーやキャラクターがどんどん複雑になって、週刊連載1回分16ページを『ああ、面白かった』と読める
単純明快な作品がほとんどない。例えば読んだことのないマンガ誌を買って、今週分だけ読んでみても
話がわからないんだよ。そうすると、やっぱり新しい読者はマンガ誌を買わなくなってくる」
こうしたマンガの難易度の上昇が、本来なら新規読者を獲得するはずのマンガ誌から新しい読者を離れさせていった。
さらに、マンガ業界全体において低年齢層に向けた作品がなくなっていることを、前出の中野氏は指摘する。
「昔は手治虫に藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎など、みんな子ども向けのマンガを描いていました。しかし、
少年誌でも子どもが楽しんで読めるマンガがどんどん減ってきて、今ではほとんど存在しない。その結果、
マンガを読み始める子が年々少なくなっているんです。もともと小学生がメイン読者だった少年誌も、
今は中学生がメインの読者層になり、高校生や大学生が読者対象になるはずの青年誌も、
読者の平均年齢が30~34歳と上昇しています。描き手にとっても、子ども向けのマンガは何がウケるかわからない。
それよりも大人にウケるマンガを描いているほうが楽だし、社会的に評価も高い。
だからマンガ家たちも子ども向けのマンガを描かなくなっているんです。こうして下の世代の新しい読者を
獲得してこなかったことが、この10年間のマンガ業界の低迷のいちばんの大きな要因だと思います」
日刊サイゾー
http://www.cyzo.com/2007/09/post_40.html
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