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2007/08/20 (Mon)
終戦前後の神戸周辺を舞台に親を亡くした兄妹を描いた野坂昭如さんの自伝的小説
「火垂るの墓」が実写映画化される。アニメ映画で反響を呼んだが、実写映画は初めて。
戦争と平和をテーマにした作品群を残して昨春、急逝した黒木和雄監督の下で助監督を
務めた日向寺太郎監督がメガホンを握る。享年75の大先輩の仕事を受け継ぐ形になる
41歳の日向寺監督は「戦争を知らない世代だが、自分なりの戦争を描きたい」と語る。

「火垂るの墓」は67年の直木賞受賞作。88年にスタジオジブリの高畑勲監督がアニメ映画化し、
05年には日本テレビが実写ドラマ化した。実写映画は、映画製作・配給会社「パル企画」
などが製作する。

同社は当初、少年時代の自身の体験を題材にした「美しい夏キリシマ」(03年)、長崎と
広島の原爆被害をモチーフにした「TOMORROW/明日」(88年)と「父と暮せば」(04年)の
戦争レクイエム3部作などで知られる黒木監督に依頼。急逝を受け、数多くの黒木作品で
助監督などをしてきた日向寺監督に白羽の矢が立った。

仙台市出身の日向寺監督は大学時代、原爆投下直前の長崎の人々の営みを通して戦争の
悲惨さを伝えた「TOMORROW」にショックを受け、卒業後、黒木監督の門下生になった。
「『反戦』などのメッセージを押し付けず、人間とその人生をきちんと描いていた。
それが黒木作品が今も色あせない理由だと思う」

05年公開の「誰がために」で独り立ちし、要請に「黒木監督の仕事を受け継ぐのは荷が
重いし、おこがましい」と一度は辞退した。戦争体験者でない自分が戦争と平和をテーマに
した作品を撮るのは難しいと思えたからだ。だが再度の打診に「戦後世代の自分でも、
原作を『どう受け止めたか』なら表現できるのではないか」と考え直し、引き受けた。

来夏公開予定で、9月から兵庫県内で撮影を始める。日向寺監督は「死んでしまう兄妹への、
自分なりの悼み方を通して、戦争を描きたい。黒木監督や野坂さんに恥じない作品にしたい」
と語る。

asahi.com
http://www.asahi.com/culture/update/0818/SEB200708180024.html
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