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日本統治時代の台湾で烏山頭(うざんとう)ダムを建設し、用水網の整備に尽くした
金沢出身の技師、八田與一(よいち)を題材にした長編アニメーション映画を、
虫プロダクションが製作することになった。来年夏の劇場公開を目指しており、金沢のほか
日本国内や台湾各地での上映を計画。ダム近くで暮らす日本と台湾の二人の少年の友情を軸に、
奮闘する八田技師の姿を描く。二十日、同プロダクションの伊藤叡(さとし)社長が
北國新聞社を訪れて明らかにした。
北國新聞社の飛田秀一社長と懇談した伊藤社長は「日本と台湾の人々の立場の違いを乗り越え、
地域に貢献した八田技師の生き方を幅広く発信したい」と、金沢で初演したいとの意向を示した。
計画によると、仮題は「フォルモサの神様 八田與一物語」。フォルモサとは台湾の別名で、
現地の人々から今なお尊敬を集める八田技師の存在感を表現した。上映時間は百分程度。
製作費一億五千万円を投じ、アニメ版「鉄腕アトム」などを手掛けた石黒昇氏が監督、
脚本は田部俊行氏が担当する。声優は未定。
虫プロダクションはこれまでに、九頭竜川や伊勢湾台風を題材に、水と向き合う人間群像を
描く作品を送り出してきた。八田技師のアニメは、五年ほど前から構想し、昨年一月ごろから
具体的な検討に入った。
台湾のアニメ会社「甲馬(ジャマー)」との共同企画で伊藤社長は来月、石黒監督を伴って
訪台し、細部を詰める。金沢市の「八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会」と五月八日に
烏山頭ダムで営まれる八田技師の墓前祭に参列する。
八田技師については昨年十一月に金沢市の生家跡に記念碑が建立され、劇作家、松田章一氏
(金沢ふるさと偉人館長)の脚本による舞台劇「台湾の大地を潤した男―八田與一の生涯」
(本社など共催)が今年六月二十、二十一日に金沢市文化ホールで上演されるなど、
県内を中心に再評価の動きが強まっている。
伊藤社長には財団法人全国建設研修センターの緒方英樹広報室長、「八田技師夫妻を慕い
台湾と友好の会」の中川外司事務局長、松田氏が同行した。
北國新聞
http://www.hokkoku.co.jp/news/HT20070421401.htm
虫プロダクション
http://www.mushi-pro.co.jp/