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2007/10/24 (Wed)
人に勧める際には「最低4日間は時間に余裕のあるとき。テスト前は触れてはならない」と
きつく注意しなければならないほど『銀河英雄伝説』という小説には、読み始めたら止まれない中毒性がある。

 『銀河英雄伝説』は、ゴールデンバウム朝銀河帝国の若き将校にして“常勝の天才”と呼ばれる
ラインハルト・フォン・ローエングラムと、自由惑星同盟の不世出の天才“不敗の魔術師” 
ヤン・ウェンリーの二人の若者が織り成す物語だ。第19回星雲賞も受賞した『銀河英雄伝説』は、
小説・コミックスを合わせた累計部数が1500万部に迫るスペースオペラの金字塔。この
「『銀河英雄伝説』アニメ製作20周年記念ファン感謝イベント」が10月8日、日本消防会館・
ニッショーホールで開催された。

 雨の中集まった、700人を超す筋金入りのファンの前にまず現れたのは、劇場版第一作
『わが征くは星の大海』。1988年の公開以来の劇場公開ということもあって、身を乗り出すファンも。
短く感じた1時間の上映後、場内がファンの熱気で暖まった中、ステージ上に現れたのは、
原作者・田中芳樹氏と、田中芳樹氏が所属する事務所、「らいとすたっふ」の代表取締役、安達裕章氏だった!

安達裕章氏による質問に田中芳樹氏が答える形で進行したトークタイムだったが、
田中芳樹ファンなら誰もが気になる質問が連発され、会場は終始沸いていた。
安達氏いわく、「普段、二人だけの時に聞いても逃げられてしまうけど、こうしてファンが700人もいる前じゃ、
逃げられないでしょう」とのこと。

 多作で知られる田中芳樹氏には、まだ完結していないシリーズもある。『銀河英雄伝説』以降に書かれた
唯一のスペースオペラ『タイタニア』も中断していて、気になっているファンも多い。これに関して安達氏が
尋ねると「小説を書いていると、何かに書かされていると感じることがあって、私はそれを『悪魔の囁き』と
読んでいます。作品毎に担当の悪魔がいて、彼らに書かされているんですが、ここのところ“薬師寺涼子”(※1)
という悪魔が強くて、“薬師寺涼子”シリーズばかり筆が進むんですね。“タイタニア”という悪魔は
引っ込み思案で、“薬師寺涼子”に睨まれるとすぐどっかにいっちゃう。なかなか原稿が進まない」と語る。
個人的に『タイタニア』ファンの心中としては「タイタニアの悪魔ガンガレ。超ガンガレ!」と言いたいところだが、
相手が薬師寺涼子ならしょうがないという気持ちにもなる。

 安達氏の「アニメ『銀河英雄伝説』が発表されて20年以上が経ちますが、今から20年後にはどうなっていると
思いますか」との質問には「ずっと作品を書き続けていたいと思っていますが、あと20年頑張っても、
考えだけで形になっていないネタがいっぱい残るんだろうなぁと思います。ネタ自体はあと600年
書き続けられるだけあるんですけれど」と田中氏は答えた。場内のファンは一刻も早い不老不死技術の
完成を願っていたに違いない。





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