「熱血！！コロコロ伝説」 30年前の子供のパワー！ 昨今の「萌え」ブームを吹き飛ばす勢い

　『ドラえもん』をはじめとする藤子不二雄のヒット漫画が定期的に読める雑誌として１９７７年に
創刊された「コロコロコミック」。藤子漫画のみならず、当時読者の年齢層が上がっていた漫画を、
ふたたび小学生の娯楽としてとらえ直す試みでもあった。

■猥雑な空気
　創刊３０周年を迎えてベスト集成『熱血！！コロコロ伝説』が刊行され始めた。シャレた箱に
入っているが、本体は昔ながらの盛りだくさんで猥雑（わいざつ）な空気がよみがえる。別冊付録
としてややミニサイズになった漫画単行本が付く。その第１弾（１９７７～１９７８）では戦後漫画の
代表作の一つでありながら長らく刊行されていなかったオバＱの単行本『新オバケのＱ太郎』と、
はしもとみつお作『がんばれ！ドンベ』が付録。

■「負けん気」「友情」
　一般読者には知られていない『ドンベ』だが、これがまた面白い。成績順に組まれたクラスの
班活動で一緒に活動することになった最下位どうしの「ドンベ」グループ５人の少年少女が主人公。
当時現実にもありえたような班の編成だが、それを指示した教師は特に憎まれ役には設定されて
いない。ここで描かれるのは、あくまで子供同士の関係の中での「負けん気」や「友情」なのだ。
　学校の裏の煙突の長さを角度の測定でもとめよという宿題がクラスに出され、勉強が理解できない
ドンベグループは命綱で巻尺を持ちながらお互いを縛って、小便を漏らしながらも煙突に登る。
「いまさらあとへひけるか」と、ついに頂上に立ち「２０メートル５４センチだ」とバンザイをする場面は
読んでいて思わず目頭が熱くなってしまった。

■少年たちのたくましい姿
　漫画タッチと劇画タッチの中間のような泥臭い絵柄。そして、水商売の母親を持つ紅一点アケミが
パンツの中まで見せようとお色気をふりまくのに惑わされず泥んこ遊びを続ける少年たちのたくましい
姿は、昨今の「萌え」ブームなど吹き飛ばしてしまう勢いだ。



Sankei Web
http://www.sankei.co.jp/culture/enterme/070708/ent070708002.htm
コロコロ公式サイト


http://www.corocoro.tv/